2022-6-21
それをわかりやすく体現していた1人が大久保智明だ。
右サイドのアタッカーとして起用された大久保は、攻撃ではサイドだけでなくインサイドに入ってボールに絡み、2人に挟まれても果敢なドリブルで前を目指した。サイドで対峙した相馬勇紀の股を抜いてみせたり、中で稲垣祥に寄せられても前への勢いを失わなかったり、とどこでボールに絡んでもチャレンジする姿勢を見せた。インサイドでそういうプレーを見せたことで、センターバックのショルツとサイドバックの宮本が1列上がってサイドバックとサイドアタッカーのような関係で攻撃に厚みを加えることもできた。
ショルツは「ビルドアップで相手を引き出し、シャドーにスペースを作ってそこにボールをつける、ということも行ったが、トモ(大久保)が非常に良かった」とその働きぶりを讃えた。
■大久保だけでなく、前線4人はいずれもそうだった
彼は守備でもレオ・シルバが低い位置でボールを持ってリズムを作ろうとすると素早い寄せで簡単には前を向かせないことをはじめとして運動量と強度を両立。
ボールを保持したり動かしたりする、という全体的なことだけでなく、あらゆる位置で自身が対峙した相手を上回ろうとし続ける、というこの根底の部分にもロドリゲス監督のチームらしさを感じることができた試合となった。
大久保だけでなく、前線4人はいずれもそうだった。全員が「戦って、走って、激しくプレーをしていたので、1試合を通して強度を保ち続けるのは難しい」(ロドリゲス監督)というほどの働きを見せ、関根貴大は流れの中でのゴールも記録した。
強度を保ち続けることが難しい、というのは悪いことではない。それは選手交代で解決する。3-0で試合を終えることは出来たものの、ロドリゲス監督はその部分について「上手くいったところと改善すべきところがあった」と満足しなかった。目指すレベルも、目指す順位もまだまだ上。中断期間を見事に活用した浦和が、ついに上昇の時を迎えようとしている。